『SHARING』へのコメント③

ライムスター宇多丸 (ラッパー/ラジオパーソナリティ『アフター6ジャンクション』)

めまいがするような入れ子構造を持った広義の過去改変ものであり、人の心が「見えてしまう」という意味で正しく「心霊」映画でもある……と同時に、理解し得ないこと、語り得ないことをいかに理解し語るのかという倫理的問い、半ば自動的に「想像~感情移入~共感」してしまう存在としての「観客」論までこちらに鋭く突きつけてくる、スリリングにもほどがある破格のエンターテインメント!……って、これまだロング・ヴァージョンしか観られていない段階での感想だというのがまた怖いあたりですが。

 

綾辻行人 (作家『十角館の殺人』『Another2001』)

よくぞこれを・・・と、感動しました。

監督をはじめ、制作陣の決意・矜持がびしびしと伝わってくる。

いろんな意味で凄い映画です。

 

蓮實重彦(映画批評家)

一瞬も弛緩することのないこの緊張感、ただごとでない。

必見の傑作である!

 

斎藤環 (精神科医)

フィクションであれノンフィクションであれ、東日本震災を扱ったすぐれた作品は数多く存在するが、このような例を他に知らない。

しかし、考えてみれば、あの震災後の混沌を感傷に溺れることなく構造的にとらえようとするなら、ホラーという形式はまさにコロンブスの卵ではなかったか。私たちが生きるのは「震災後の世界」ではない。私たちは震災と震災との間、すなわち「災間」を生きる。

原発事故によって“確率化”された生を生きる。

その意味で本作は、災間の時間に刻印された、消えることのない映像の記念碑である。