STAFF&CAST

製作・配給    オフィス北野

1999年 ビデオ/16ミリ  カラー93分

プロデューサー  森昌行・吉田多喜男

監督       篠崎誠

撮影       河津太郎

進行・編集    木川学

録音       新保昌浩

ラインプロデューサー  山田昌宏

制作協力     アルファヴィル

オンライン編集  安原孝・板橋茂樹

MA        小室浩行・菊池政雄

仕上げ      ヨコシネディーアイエー

音楽       「菊次郎の夏」より MEMORIES OF SUMMER 作曲 久石譲

挿入歌      「嘲笑」 作詞・歌 ビートたけし  作曲 玉置浩二

出演        北野武・侯賢賢(来客)・「菊次郎の夏」全スタッフ、出演者

 

北野武の作品「菊次郎の夏」の製作過程を150日におよぶ密着取材で描き出すドキュメンタリー。

当初、宣伝用のメイキング素材として製作されるはずだったが、その徹底的な現場への密着、さらに独自の視点による編集を経て、極めてユニークなドキュメンタリーとして完成した。

この作品における独特のアプローチはそのスタイルに端的に表れている。編集過程において、この種のドキュメンタリーではごく普通に用いられている手法ーナレーション、テロップ、本編映像の引用ーをあえて排除する方向を選んだ。さらに、ただ一箇所の例外を除いて、背景音楽すらも使用していない。

この過激かつストイックなスタイルにより、観客は一つの映画が生み出されるまさにその瞬間をに立ち会っているかのような臨場感を体験することができるだろう。

時にエネルギッシュに、時にコミカルに振る舞いつつ、的確にスタッフを動かす監督・北野武。口角泡を飛ばしてセット撮影のデザイン案を議論する技術スタッフたち。仕上げスタジオに忽然と現れ、北野武と映画談義に興じる台湾映画界の巨匠、侯孝賢(ホウ・シャオシエン)北野武という類い稀な映画作家の作品が、まさに「ジャムセッション」のような過程を経て形成されてゆく幸福なプロセスを呈示してくれるこの作品は、いわゆるメイキングものという枠を超えた類い稀なドキュメンタリーとなっている。